酒造りのこだわり 藤井酒造の酒造り 「過去」から「未来」へ 酒は、人が造るものではなく、自然が醸すもの。これが私たちの酒造りの基本的なコンセプトです。人は、その自然の力が最大限に生かされるよう、できるかぎりの工夫をこらしていく。人智を尽くすからこそ、自然が造り出す力に近づくことができる。そう考えて私たちの蔵が取り組んでいる伝統的な酒造りの要点をいくつかご紹介します。 純米であること 純米酒のみを醸す全量純米蔵 日本酒は、米の酒です。米と米麹のみを原料として使用するのが日本酒本来の姿であると私たちは考えています。現代では、各蔵の考え方の相違もあり、市場には蒸留アルコールを添加した日本酒も存在します。私たちは、日本酒の原点となる酒造りを行いたいと願い、製造する酒すべてを米と米麹だけで醸造しています。 完全発酵であること 生命の力を最大限に引き出す 酒酵母がその使命を終える最後の時まで旺盛に活動を続け、米麹の糖を酒のアルコールに変えることを完全発酵と呼びます。完全発酵のためには、酒酵母の栄養源となる麹造り、さらにはその原料処理の段階からの丁寧な仕事が必要となります。完全発酵を終えて誕生する酒は、まろやかな口当たりと飲み飽きることのない爽やかな旨み、軽快なあと口のキレを兼ね備えています。私たちは、どのランクの酒であっても、この完全発酵による酒造りを心がけています。 生酛造りへの挑戦 自然の力と共に醸し出す 日本酒は、世界の酒類の中でも極めて高度な“並行複発酵”によって誕生する醸造酒です。中でも、微生物と人間とが力を合わせて天然の乳酸を発生させ、健やかな酵母の働きを導く“生酛仕込み”は、時間も技術も労力も必要とされる高度な酒造技術。およそ二百年以上も前に考案された昔ながらの技術ですが、その手間を惜しまぬ酒造りでしか得られない強い酒質と味わいの深さを私たちは大切に守りたいと考え、現代の蔵の中でも復活させました。