酒造りのこだわり CLASSIC ✕ MODERN 古の製法と現代の感性が響き合う酒造り 江戸時代から受け継がれる伝統製法「生酛」に特化しながら、現代の感性や嗜好に寄り添った新たな価値の創造を目指す——それが私たちの酒造りの基本姿勢です。創業当時から変わらぬ酒蔵の中で育まれてきた、ここにしか存在しない微生物の力。それを最大限に生かし、伝統的な生酛造りを基盤としながら、現代技術を柔軟に取り入れることで、時代を超えて愛される酒を醸しています。「美味しい」のその先にあるもの——それは、地域に根ざした文化や日本の伝統を感じることができる一杯。古き良き技と現代の感性が響き合う、新しい生酛の世界をお届けします。 自然から授かる酒造り 蔵で育まれた生態系を活用 かつて、酒造りは神秘に包まれていました。発酵のメカニズムが解明されていなかった時代、酒蔵は「酒の神様が宿る神聖な空間」とされ、蔵人たちは神棚に祈りを捧げながら、酒が無事に生まれることを願いました。私たちの酒蔵は、長い年月をかけて独自の生態系を育んできました。蔵に棲みつく微生物たちは、発酵の過程で欠かせない役割を果たし、この土地ならではの風土を映し出す唯一無二の味わいを生み出します。しかし、この生態系は一度失われてしまえば、二度と元には戻りません。だからこそ、私たちは酒蔵を守ることを大切にしています。それは、自然の恵みと伝統を未来へとつなぎ、新たな価値を生み出すことでもあります。酒蔵が持つ力を最大限に活かし、自然から授かった酒を育てる酒造りを続けることで、地域の誇りとなる文化を守り続けていきます。 歴史の<if>を紡ぐ もし、生酛造りが途絶えていなかったら かつて藤井酒造では、すべての酒を生酛造りで醸していました。1940年代まで、それが当たり前の光景だったのです。第一回清酒品評会で日本一に輝いた酒もまた、生酛によるものでした。しかし、時代の流れのなかでこの伝統は一度途絶えてしまいます。そして2008年——生酛造りは復活を遂げ、2023年からすべてのお酒を生酛造りへと回帰ました。もし、あの時、生酛造りが途絶えずに受け継がれていたならば。もし、そのまま進化し続けていたならば。今、この酒はどんな味わいになっていたのか——。私たちは、歴史に刻まれなかった<if>の物語を想像し、形にする酒造りを続けています。過去と現在をつなぎ、架空の今を描き続ける。その先に生まれるのは、まだ誰も知らない、新たな生酛の世界です。 温故創新の精神 伝統を礎に、新たな価値を生み出す 酒造りとは、ただ伝統を守るだけではなく、時代とともに変化する嗜好に寄り添いながら進化し続けるもの。私たちは、受け継がれてきた技術と自然から授かった酒母を大切にしながら、常に新たな可能性を模索し続けています。現状に満足することなく、変化を恐れず、新しい方法や技術を積極的に取り入れる——それこそが、これからの酒造りに必要な姿勢だと考えています。伝統を基軸としながらも、時代に即した革新を重ねることで、唯一無二の価値を生み出す酒蔵であり続けたい。温故知新を超え、温故創新へ。私たちは、酒造りの未来を見据えながら、新たな価値を創造し続けていきます。